ぼくは今、毎週のように海外の取引先とSkype会議をこなし、第一線でバリバリ働いています。
しかしそんなぼくも、入社として2年ほど経ったとき、社内ニートとなって心を病む寸前までメンタルがボロボロになり、仕事を辞めよう、と考えたことがありました。
今となっては思い出すだけでつらい出来事ですが、もし同じような思いをしている人がいたら、ぼくの経験から少しでも救われてくれたらよいなと思って書きました。
つらい経験を経て強く感じたことは、もし今、自分に自信がなく、仕事を辞める寸前まで追い詰められているとしても、それはあなたのせいだと思わないでほしいのです。
周囲の環境が、扱いが、あなたを壊すこともあるんです。
Contents
社内ニートとは?
まず、社内ニートとは何でしょうか?
ぼくなりの理解では、仕事が与えられず、就業時間は時間を潰して過ごす社員のことを指します。
社内ニートとなる原因は様々ですが、主に下記のようなパターンがあるのではないでしょうか。
- 本人が仕事ができないから
- 上司が仕事を与えないから
- 本人と上司の相性が悪いから
もちろん本人が仕事ができないから、という理由でなってしまうパターンはあるでしょう。
しかし自分が一度社内ニートに陥ってみて思うのは、必ずしもそうは限らない、ということです。
現にぼくは社内ニートから脱出してから6年ほど経ちますが、全く仕事が途切れることはなく、周囲の信頼もそれなりに得ている自信はあります。
だから今そういう状況に陥っている人、絶対に自分を責める必要はないと思います。
就職後社内ニートになり、復活するまでの経緯
嬉しすぎた就活直後
理系大学院まで進み、就活は推薦で決まりました。
ぼくの年度は割と景気がよく、学生側有利だったのもあってか、分不相応なほど大手の企業に決まりました。
両親・一族郎党大喜び。
ぼく個人としても満足いく進路だったので、未来は明るいな!とキラキラした気分でした。
そのときは本当に。
配属後、部署を転々と
入社後、約半年間の研修を経て、ほぼ希望通りの部署に配属されました。
配属直後、2年ほどは部署を転々と異動しました。
やることも上司も3,4ヶ月刻みで変わっていったので、慣れるのが大変でした。
苦労はしましたが、いろいろな人の仕事のやり方に触れることができて貴重な経験だったと思います。
ただ、このときまでは上司によってこんな辛い思いをすることになるなんて思ってもいませんでした。
そしてとある上司のもとへ
入社してから2年半後。
とある上司のもとへ異動となりました。
その上司をAさんとしましょう。
Aさんの周囲からの評価としては、仕事がデキる人、でした。
立場としては課長で、当時のAさんの年齢で課長職というのはぼくの会社ではかなりの出世頭。
ただ、ぼくの中では、「苦手だな…」という意識がありました。
Aさんが他の人と話すとき、相手によって態度が大きく違うのを見て、なんとなく苦手意識を持ったのかもしれません。
誰の役に立っているのかわからない日々
Aさんの下について、3ヶ月ほど経過しました。
突然ですが、仕事をしてて忙しい状態と暇な状態が続くこと、どちらがつらいと思いますか?
ぼくは絶対、暇な状態だと思います。
このとき僕には何も仕事がありませんでした。
いや、あるにはあったのですが、当時のぼくの部署は開発最前線ではなく、開発の一歩手前の先行開発の部署です。
その中で僕に与えられた仕事は、やらなくても誰も困らない仕事、でした。
ぼくが仕事をしてもしなくても誰も困らないので、ぼくに話しかける人はほぼいなくなりました。
朝、社内メールを開いてもメーリングリストのメールが届いているだけ。
これだけ書くと、会社に行くだけでお金がもらえる!夢のような仕事だ!と思う人もいるでしょう。
それも一理あると思いますが、ぼくの感じ方は違っていました。
ぼくは会社における自分の存在価値がわからなくなっていました。
仕事を頑張りたい気持ちはあるのに、スキルを身に付けたいのに、何もできない。
やる気があればあるほど、ぼくのように感じてしまうのだと思います。
上司からの罵声
ぼくは仕事が欲しかった。
「自分が何かの役に立っている」実感が欲しかったのです。
もちろん上司であるAさんに相談しました。
具体的に◯◯の仕事がしたい、と。
しかしのらりくらりとかわされるばかり。
それどころか、Aさんは頻繁にぼくの席の近くに来て、他の社員と世間話をする中、よくこう言っていました。
まわりの人にも聞こえるように。
「どうせやることなんてないんだろ?」
「おまえ、なんのために会社来てるんだっけ?」
「ホント使えねぇよな」
最初は流しますよね。
またまたーって感じで。
しかしあまりに頻繁にそれが繰り返され、だんだんと流す元気もなくなってきました。
自分の仕事への自信は、実は多少はありました。
学生時代、難関といわれていたベンチャー企業の長期インターン試験に合格できたことがその自信の根源でした。
しかし、ぼくはあっさりと自分への自信を見失いました。
ぼくが弱かったこともあるでしょう。
しかし、こうも思います。
人は、周囲に価値なく扱われることで、簡単に自分自身が価値がないと思わされてしまうってこと。
かれこれそんな生活が半年ほど続き、ぼくに限界が来ました。
限界
当時長く付き合っていた彼女がいました。
ちょうど結婚をお互い意識し始めた時期でしたが、当時のぼくは今の会社で仕事を続けられるビジョンが描けませんでした。
そして今の会社があまりにも大手過ぎて、あっさりと辞める決意もできなかった。
かといって転職しても、結局同じような環境になるのか、という思いもあり、結婚して生活費を稼いでいける気がしなかった。
今になってみても自分の弱さに呆れますが、結局それで別れてしまい、ぼくの心は限界を迎えました。
いったん退職して、大学時代にやっていた塾講師のアルバイトでもしよう、いったんそれで逃げよう。
そう考えた矢先に、突然の部署異動通知を受け取りました。
辞表寸前の転機
異動先の上司は担当プロジェクトの関係でドイツに長期出張中、とのこと。
とりあえずドイツに来てこっちの仕事を手伝ってくれ、とのことでいきなり1ヶ月のドイツ出張となりました。
実はこれが人生初めての海外。
退職しようと考えていたところにこんな急展開となり戸惑っていましたが、
「辞めるのはいつでもできる。せっかくならこの急展開を楽しもう」と半ばヤケクソになりつつもドイツに行きました。
移動先の上司、Bさんは何度か仕事を一緒にしたことがある方でした。
ひょっとしたらぼくの状況をいろいろ聞いていたのかもしれません。
他部署と接点の多い担当業務をアサインしてくれました。
きっと、一度開発の最前線から離れてしまったことを配慮し、社内の人脈を作りやすいような業務を選んでくれたのでしょう。
しかし、最初は自信を失った後遺症が残っていて本当にひどかった。
他部署にちょっとした仕事依頼のメールを送るだけなのに、文章が誤解を招いたらどうしよう、と気になって送れない。
1通のメールを送るために1時間かけて考えてしまうような状態でした。
そこまで自分がやることに自信を持てなくなっていたのです。
ですが、Bさんはぼくに自信を取り戻すための時間を与えてくれました。
Bさんが与えてくれた役割と時間のおかげで、ぼくは少しずつ「仕事を続けていける」自信を取り戻していきました。
そして今
国内の顧客企業と海外のパートナー企業との技術窓口として、日々忙しく自信を持って働いています。
メールは1日何百通も届き、他部署から相談を受け、周囲から頼られるケースが多くなりました。
ちょっと忙しすぎるくらいですが。
伝えたいこと
もし今、自分に自信がなく、仕事を辞める寸前まで追い詰められているとしても、それを100%自分のせいだと思わないでください。
少なくともぼくは、周囲に価値がないと扱われることで自分を信じられなくなり、何もできない人間になりました。
しかし環境が変わり、上司が変わり、周囲からの扱われ方が変わることで、自分が信じられるようになりました。
だから、どうしようもなくうまくいかない、自分に自信が持てないときは、環境を変える努力をしてみてほしいのです。
ぼくの場合は運良く部署異動がありましたが、部署異動願いでも転職でも一回退職するでも、環境を変える意志を周囲にみせてください。
今がどん底であれば、きっとよい方向に変わるはずですよ。
2018年9月追記:社内異動して再び困難に出会う
そしてこの出来事から8年後。
ぼくは社内異動し、再び困難に出会うことになります。
よかったら以下の記事を読んでみて下さい。
(今現在、休職を経て復職しました)
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